無線環境構築と導入効果
防爆エリアにおける無線環境構築
防爆エリアでは、サイバーセキュリティ対策以外にも無線環境の構築に特有の課題が存在します。まず、モバイルなどの無線機器は防爆仕様でなければならず、通常の機器よりも高価になります。さらに、パイプジャングルとも呼ばれる化学プラントでは、無線通信の信号が障害物や干渉物によって減衰することが多いため、適切なレイアウトと多くのアクセスポイントが必要となります。また、防爆エリアでは安全基準が厳しく設定されており、これに対応するための追加コストと時間もかかります。これらに対応するため、防爆エリアでの無線ネットワーク構築には入念な計画と専門的な知識が求められます。
導入効果と事例
冒頭でも触れたように、無線ネットワークが普及してきたことで、製造現場でのモバイルの活用はますます拡大しています。無線ネットワークにより作業員は自由に移動しながら作業を行うことができ、現場作業の柔軟性と効率性が向上します。また、従来は現場側から必要な情報が見えず、制御室からの連絡を待つムダ時間がどうしてもありました。こういった状況においても、現場側もプロセス全体を把握してより効率的な作業が可能となり、同時に制御室側と現場側のダブルチェックにもなるため、戻り作業やケアレスミスの防止にもつながります。
ある化学工場では、作業員がタブレットを使用することで制御室から離れた場所でリアルタイムにプラントの状態を監視し、問題発生時には即座に対応できるようになりました。この結果、ダウンタイムが大幅に削減され、生産性が大幅に向上しました。具体的には、作業員は制御室に行かずに現場に急行することで時間が短縮され、機器の異常対応も適切なタイミングで行えるようになりました。
同様に防爆環境下においてもモバイル端末を使用することにより、現場作業員は迅速に問題を解決できるようになります。また、管理者や技術者もリモートでDCSを監視・制御することでダブルチェックにもなり、より安全・安心な操業にもつながっていきます。
まとめ
モバイル技術を活用したDCSの導入は、現場での素早い対応と遠隔地からの監視を実現し、業務効率と安全性を大幅に向上させます。一方で防爆環境におけるネットワーク構築には専門的な知識と各ユーザーに合わせた詳細設計が必要になります。
YOKOGAWAでは、防爆環境における無線ネットワークの構築からDCSへの接続まで、ワンストップにてご提供しています。まずは場所に縛られる働き方を変える手段の一つとして、DCSのモバイル活用を検討してみてはいかがでしょうか。